ここは今時到底有り得ない架空上の劇場 巷に蔓延るは無数の陰口や因縁 言葉に意味なんてなくなってからもう既に四十九日 有り合わせで適当に吐き捨てられただけのごみ箱 世界が大きくなるにつれ小さくなりゆく許容 誰かを幸せにするために誰かを捨て行く犠牲主義 地位とか立場だとかを決めるのは功績なんかじゃなく血統 今日も素敵な衣装身に纏い家来引き連れ歩くのさ 私は背の大きな王様 誰もが認めたお偉い様 威光にあやかったお連れ様 「皆の衆、本日お疲れ様」 ある朝王様に会いに来た二人の仕立て屋 「あなた様によく似合う服を作りにやってきました」 喜んで作らせたはいいけど驚くほど透明 「賢い人にしか見えない仕様なんです、 あれっ?どうかなされました?」 |
僕等は気の小さな仕立て屋 その実肝の据わった仕掛け屋 見事に決まった間抜け面 騙されてる方が悪いのさ そうさ事実言うなればイカサマ それにまんまと釣られた王様 どちらも傍から見ればお子様 「どこでお昼寝してたの神様?」 ここは今時到底有り得ない架空上の劇場 チャチなプライドの衣装身に纏い舞い踊る民衆 仕掛けられた地雷踏んだのは一人の少年 無垢な笑顔を浮かべ大はしゃぎ 「みんな!見てよ!なんで?どうして?王様は裸なの?」 私は背の大きな王様 誰もが認めたお偉い様 そうさ誰しもいつかはお星様 あなたは背の大きな王様? それとも気の小さな仕立て屋? 兎にも角にも喜劇はお終い 「皆の衆、本日お疲れ様」 |